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SMARTゴールの設定方法について

勉強中の子どもがSMARTゴールのチェックリストを確認しながら集中している様子

SMARTゴールとは?

目標設定は、成功の道筋を描くための最も基本的な手段です。しかし、多くの人が「目標は大切だ」と口にしながらも、実際には曖昧な願望を抱えるだけで、それが達成できない理由を「やる気がない」や「環境が悪い」といった外的な要因に求めてしまいます。子どもも例外ではなく、「もっと勉強しよう」「成績を上げたい」といった抽象的な目標だけでは、具体的な行動に結びつかないことがほとんどです。

そんなときに有効なのが、「SMARTゴール」というフレームワークです。この手法は、単なる願望を具体的かつ現実的な行動計画に落とし込むためのツールであり、大人にも子どもにも適用できる普遍的なルールです。SMARTゴールとは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(現実的)、Time-bound(期限付き)の5つの要素から成り立ちます。

子どもにとって、このフレームワークを使って目標を設定することは、自ら考え、計画し、実行する力を身につけるプロセスそのものです。それは、単に「努力」や「根性」を強いるものではなく、自己効力感を育みながら、着実に成果を上げるための科学的なアプローチでもあります。

SMARTゴールの基本要素

Specific(具体的)

私たちが目標を立てるときに、つい曖昧な表現を使ってしまうのは、漠然とした希望が私たちの中で心地よく響くからです。しかし、「もっと勉強する」や「頑張る」という目標は、具体的な行動に結びつかず、現実の中で成果を得ることは難しいでしょう。たとえば、子どもに「もっと勉強しなさい」と指示しても、何をどうすれば良いのかが不明確で、本人も途方に暮れてしまいます。

SMARTゴールでは、目標を「具体的」にすることが最初のステップです。たとえば、「算数を頑張る」ではなく、「毎日10問の算数ドリルを解く」と明確に設定することで、何をどのように取り組むかがはっきりします。目標が明確になれば、子どもも無駄なエネルギーを費やすことなく、目的に向かって直進できます。

Measurable(測定可能)

人間は、本能的に「進捗」を感じるとモチベーションが高まる生き物です。そのため、目標は進捗を測定できるものであることが理想です。たとえば、「テストで良い点を取る」といった曖昧な目標ではなく、「次の算数テストで80点以上を取る」や「1週間で5回の英単語テストを行う」といった、数値や回数で測定できる目標を設定するのが効果的です。

測定可能な目標は、単に結果を確認する手段ではなく、進捗を可視化することで、子どもに自己達成感を与え、やる気を高める仕組みです。さらに、達成できなかった場合も、どの部分で問題があったのかを振り返る材料となり、次の行動に役立てることができます。

Achievable(達成可能)

次に考えるべきは、目標が「達成可能」かどうかです。理想を掲げることは大切ですが、現実的に達成できない目標は、子どもにとってストレスや挫折の原因となります。逆に、少し努力すれば達成可能な目標は、子どもに成功体験を提供し、次なるステップへの意欲をかき立てます。

たとえば、いきなり「次のテストで100点を取る」と言っても、実現が難しい場合は失望感が残ります。それよりも「まずは前回のテストよりも10点上げる」というような、小さなゴールから始めることが大切です。小さな成功が積み重なれば、やがて大きな成果へとつながります。

Relevant(現実的)

目標が具体的で測定可能、そして達成可能であったとしても、それが子どもの将来に関係ないものであれば、長続きするモチベーションにはつながりません。ここで重要なのが、目標が子ども自身にとって「Relevant(現実的で意味がある)」かどうかという視点です。たとえば、子どもが興味を持っていない分野や、将来の夢と全く無関係な学習目標を強制しても、学びに対する内発的なモチベーションは育ちにくいでしょう。

具体的には、子どもの興味や将来の目標に関連する課題を取り入れたゴールを設定することが重要です。もし子どもが宇宙に興味があるなら、「理科のテストで高得点を取る」や「宇宙に関連する本を月に2冊読む」といった目標を設定すると良いでしょう。子どもが自分の関心を持つ分野に関連したゴールを追求することで、学習が「義務」ではなく「自己成長の機会」として捉えられるようになります。

Time-bound(期限付き)

最後に、SMARTゴールの重要な要素のひとつが「Time-bound(期限付き)」であることです。期限が設定されていない目標は、つい後回しにされがちで、結局達成されないまま終わってしまいます。逆に、期限があることで時間管理が必要となり、行動を具体的に計画する必要性が生じます。これにより、目標達成に向けた行動が現実のスケジュールに組み込まれるため、実行に移される可能性が高まります。

たとえば、「いつか本を読もう」ではなく、「今月中に3冊の本を読む」といった具体的な期限を設けることが、目標を達成するために有効です。期限があることで、計画的に取り組む力が養われ、また時間内に目標を達成できた際の達成感も大きなものとなります。

子どもでもできるSMARTでゴールを設定する方法

では、実際に子どもがどのようにしてSMARTゴールを設定できるのかを考えてみましょう。まず重要なのは、目標設定は親が一方的に決めるのではなく、子ども自身が自発的に考えるプロセスに寄り添うことです。大人がゴールを押し付けると、子どもはそれを「自分のもの」と感じられず、主体的に取り組めなくなります。

1つの方法として、まず親がSMARTゴールの基本を子どもに説明し、どのような目標が良いかを一緒に考えることができます。たとえば、「どんな分野で成長したい?」と子どもの興味を引き出し、その後に「じゃあ、具体的にどんなことをすればその分野で上手くなれると思う?」といった形で、対話を通してゴールを設定していきます。

具体例として、子どもが「読書が苦手だから上手くなりたい」と言った場合、次のようにSMARTゴールを作成します。

  • Specific(具体的):「毎日20分間、読書をする」
  • Measurable(測定可能):「1週間で合計140分の読書を目標にする」
  • Achievable(達成可能):「難しい本は避け、興味のある簡単な本から始める」
  • Relevant(現実的):「学校の課題や将来の興味に関連する本を選ぶ」
  • Time-bound(期限付き):「1ヶ月後までに3冊の本を読み終える」

このように、子どもが自身の目標を設定する過程に関与することで、彼らは責任感を持ち、自分の意志で取り組む力が養われます。

また、目標を定期的に見直し、進捗を確認することも大切です。親がサポートする際は、「どう、進んでる?」と優しく声をかけたり、目標達成までの道のりを一緒に振り返ったりすることで、子どものモチベーションを高めることができます。失敗や遅れが出た場合も、柔軟に目標を再設定することで、挫折感を感じさせず、成長を促すことができます。

SMARTゴールを継続するためのヒント

目標を設定するだけでは不十分で、重要なのはそれを継続できるかどうかです。多くの場合、子どもは途中で飽きたり、モチベーションが低下したりしますが、それは必ずしも「やる気がない」という単純な理由ではありません。子どもにとって、長期間にわたる目標達成には様々な障害があることを理解し、その対策を立てることが、親の役割でもあります。

ここで大切なのが、小さな成功体験を積み重ねるという考え方です。子どもが何かに取り組んでいるとき、親がよくやってしまいがちなのは、大きな成果を期待しすぎてしまうことです。しかし、実際には小さなステップごとに達成感を得ることが、子どもにとって非常に重要です。たとえば、読書の例で言えば、最初は1冊を読み切るのが難しい場合、まずは「1章読む」や「30ページ読む」といった小さなゴールを設定し、それを達成したことをしっかりと認めてあげることがポイントです。成功体験が繰り返されることで、自己効力感が高まり、次の挑戦へと自然にステップアップできるようになります。

もう一つの重要な要素は、ポジティブなフィードバックです。褒めることでモチベーションを維持することは非常に効果的ですが、フィードバックは単なる「すごいね」では不十分です。達成した目標に対して具体的に「どうしてそれが良かったのか」を伝えることが、子どもにとって自分の努力が価値あるものであったと実感できる瞬間になります。たとえば、「毎日しっかり読書の時間を守ったのは、時間管理ができている証拠だね」というように、努力そのものに焦点を当てると良いでしょう。こうしたフィードバックは、行動を振り返る力を育て、次の目標設定時にも自分で進捗を評価する習慣をつけさせることに繋がります。

一方、目標が達成できなかった場合はどうするべきでしょうか?ここで大切なのは、失敗を成長の一部として捉えることです。何かに失敗したとき、それを「できなかった」としてただ否定するのではなく、「どうすればもっと良い目標を設定できるか」を一緒に考え、再設定することが重要です。たとえば、「この目標は少し難しかったかもしれないね。じゃあ、次はどうする?」と柔軟に対応することで、子どもは目標達成に対する恐怖心を和らげ、チャレンジ精神を維持することができます。

最後に、目標の修正についても触れておきましょう。SMARTゴールは、状況が変わる中で固定的なものではなく、柔軟に修正されるべきものです。子どもの成長や興味が変わった場合、設定したゴールもそれに応じて見直すことが必要です。もし目標があまりにも簡単に達成されてしまった場合は、次にもう少し高いゴールを設定し、逆に目標があまりにも難しかった場合は、それを調整することをためらってはいけません。このようなフレキシブルな対応が、子どもの長期的な成長を支援する重要な要素です。

SMARTゴールで子どもの自己成長を支援しよう

これまで述べてきたように、SMARTゴールは単なる目標設定の方法ではなく、科学的に裏付けられた行動計画のフレームワークです。このフレームワークを活用することで、子どもは自分自身で計画を立て、進捗を確認し、自己成長を遂げる力を身につけることができます。

まず、目標を具体的で測定可能な形にし、達成可能かつ現実的なものであることを確認する。そして、期限を設けることで、行動が現実的なスケジュールに組み込まれ、達成に向けた行動が促されます。また、親はただ「見守る」のではなく、子どもと一緒に目標を設定し、進捗を確認し、フィードバックを与える役割を果たすことが求められます。これは単に子どもの成果を監視するためではなく、自己効力感を高め、子どもが自己成長を実感できるようサポートするためです。

しかし、目標達成の過程は常に順調ではありません。失敗や遅れが生じることもありますが、それを「失敗」として処理するのではなく、次の成長の糧とする柔軟な対応が大切です。失敗から学び、目標を再設定し、再び挑戦するプロセスこそが、長期的な成功に繋がる鍵です。

最終的には、SMARTゴールを通じて、子どもが自分で目標を立て、自分の力でそれを達成する能力を身につけることが、最大の成果です。これは、学習や成績向上に限らず、人生のさまざまな場面で役立つスキルとなり、子どもの将来に大きな影響を与えるでしょう。

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この記事を書いた人
㈱ハイバリュー代表(運営元) SOCIALSCHOOL講師、サイコロジカルコーチ 未来をもっと楽しく、もっと豊かにするお手伝いをしています!ITスクールを運営し、プログラミング教育と心理学をベースにしたコーチングで『できる!』という自己効力感を育むサポートをしています。SOCIALSCHOOLで楽しく学び、成長するヒントやアイデアを明るくポジティブに発信していきます!