はじめに
2025年度から大学入学共通テストに新たに加わる「情報I」。これまで「社会と情報」と「情報の科学」に分かれていた科目が統合され、高校生全員がプログラミングやデータ活用などを学ぶことになりました。情報技術が急速に進化する現代において、デジタルリテラシーの向上は必要不可欠です。本記事では、「情報I」の学習内容や共通テストの試験範囲、効果的な学習方法について詳しく解説します。
「情報I」とは?導入の背景と狙い
「情報I」の概要
「情報I」は、2022年度の新学習指導要領に基づいて導入された高校必修科目です。全ての高校生が履修することが義務付けられ、情報社会で必要な知識やスキルを総合的に学びます。特に、プログラミング、データ活用、ネットワーク、情報モラルといった現代社会で必須のリテラシーが重視されています。
「情報I」導入の背景
近年、AIやビッグデータの活用が進み、情報技術が社会のあらゆる分野に影響を及ぼしています。これに伴い、情報の正しい取り扱いや活用方法を学ぶことが重要になりました。そこで、「情報I」では、単なる知識の習得だけでなく、論理的思考力や問題解決能力、デジタル社会に適応するスキルの育成を目指しています。
共通テストに「情報」が加わる理由
大学入試改革の一環として、2025年度(令和7年度)から共通テストに「情報」が加わります。これは、社会で求められる情報活用能力を大学進学後も継続的に育成するためです。共通テストの試験範囲は「情報I」の全領域に及ぶため、高校の授業で学ぶ内容がそのまま入試対策にもつながります。
「情報I」の学習内容:4つの領域
「情報I」は、以下の4つの領域から構成されています。それぞれの内容と学習のポイントを見ていきましょう。
情報社会の問題解決
この領域では、情報技術を活用して課題を発見・解決する力を育成します。具体的には、以下の内容を学びます。
- 問題発見・解決力:情報を分析し、より良い解決策を考える力を養う。
- ICTの役割と影響:情報技術が社会にどのような影響を与えるのかを考察。
- 情報モラルと法規:著作権や個人情報保護のルールを理解し、安全な情報活用を学ぶ。
この領域では、現実の問題に対して情報技術をどのように活用できるかを考える力が求められます。例えば、SNSの情報拡散の仕組みを分析したり、フェイクニュースの見分け方を学ぶことで、情報を適切に評価するスキルが身につきます。
コミュニケーションと情報デザイン
ここでは、情報を効果的に伝える技術を学びます。
- メディアの特性の理解:テキスト・画像・音声・動画の特性と活用方法を学ぶ。
- 情報デザイン:分かりやすい資料やWebデザインの原則を習得。
- コンテンツ制作と改善:プレゼンテーションや動画制作を通じて、伝達力を高める。
この分野では、プレゼン資料やWebページの作成など実践的な活動が多く含まれます。特に、データを分かりやすく可視化するスキルが求められるため、グラフの適切な使い方や、視覚的に伝わりやすいデザインの原則を学ぶことが重要です。
コンピュータとプログラミング
情報I」の中でも特に重要視される分野で、論理的思考力を育てることが目的です。
- コンピュータの仕組み:二進数や論理演算、データの表現方法を学ぶ。
- アルゴリズムとプログラミング:順次・分岐・繰り返しなどの制御構造を習得し、問題解決に応用。
- 応用技術:センサーや外部装置を利用したデータ収集・分析。
共通テストでは、この分野の問題が得点差を生みやすいと言われています。特に、擬似言語を使ったアルゴリズム問題が出題される可能性が高いため、Pythonなどのプログラミング言語を用いた演習が有効です。
情報通信ネットワークとデータの活用
インターネットやデータベースの基礎を学び、情報を効果的に活用する力を身につけます。
- ネットワークの仕組み:インターネットの通信プロトコルやセキュリティ技術を理解。
- データ管理と分析:データベースやSQLの基礎を学ぶ。
- データの可視化と活用:統計的手法を用いたデータ解析や、グラフによる情報整理。
この分野では、実際のデータを使った分析が多く含まれるため、データサイエンスの基礎的な考え方も学ぶことになります。共通テストでも、データを分析し結論を導く問題が出題される可能性が高いため、統計の基本知識をしっかり身につけることが重要です。
効果的な学習方法
① プログラミングは実践重視!コードを書いて学ぶ
(なぜ重要?)
プログラミングは、理論を理解するだけでは十分ではありません。実際にコードを書くことで、構文やアルゴリズムの流れを体験しながら学ぶことができます。
(学習方法)
- 擬似言語の演習を行う
- 共通テストではPythonに似た擬似言語が使用される可能性が高いため、これに慣れておくことが大切です。
- 擬似言語を使ったプログラムを書き、問題を解く練習をしましょう。
- 実際にプログラムを書いて実行する
- PythonやScratchを使って基本的なプログラムを作成する。
- 例:**「ユーザーが入力した数値の平均を求めるプログラム」**などを作成し、動作を確認する。
- エラーが出たら、原因を考えて修正する習慣をつける。
- 代表的なアルゴリズムを理解する
- **条件分岐(if文)や繰り返し処理(for, while文)**の使い方をマスターする。
- **線形探索・二分探索・ソートアルゴリズム(バブルソート、選択ソートなど)**を学ぶ。
- 競技プログラミングの簡単な問題を解く
- プログラミング学習サイト(Paiza、AtCoderなど)を活用し、基本問題を解いてみる。
② データ分析の練習!統計的手法を使ったデータの可視化を実践
なぜ重要?)
「情報I」では、データを適切に分析し、グラフや統計手法を活用して情報を整理・解釈する力が求められます。
(学習方法)
- 基本的な統計の知識を学ぶ
- 平均値・中央値・最頻値・標準偏差など、統計の基本概念を理解する。
- データのばらつきを示す「箱ひげ図」「散布図」「ヒストグラム」の特徴を把握する。
- 実際のデータを使って分析する
- エクセルやGoogleスプレッドシートでデータを集計し、グラフを作成する練習をする。
- 例:学校のテスト結果を分析し、成績の分布をヒストグラムで表す。
- データの可視化を意識する
- 見やすいグラフを作るために、適切なグラフの種類を選ぶ。
- 例:割合を示すなら「円グラフ」、推移を示すなら「折れ線グラフ」など。
- 統計的な分析方法を学ぶ
- 相関関係(2つのデータの関係性を調べる)を理解する。
- **「相関係数」や「回帰分析」**の基礎を学ぶことで、データの関連性を数値で表現できるようになる。
③ 模試を活用する!共通テスト形式の問題に慣れる
(なぜ重要?)
共通テストは、従来の「暗記型」問題ではなく、実際に考えて答えを導き出す力が求められます。事前に問題形式に慣れておくことで、本番でも落ち着いて解答できるようになります。
(学習方法)
- 過去問・試作問題を解く
- 2025年の初回試験に向け、大学入試センターが公開している「試作問題」や、出版社が出している予想問題集を活用する。
- 時間を計って解くことで、試験のペース配分を意識する。
- 問題の傾向を分析する
- プログラミング問題の出題形式(擬似言語の出題方法など)を把握する。
- データ分析問題では、どのような統計的な考察が求められるのかを理解する。
- 間違えた問題を復習し、理解を深める
- 単なる解答の確認ではなく、なぜ間違えたのかを考える。
- 例えば「このコードのどこが間違っていたのか?」を分析し、エラーを防ぐ方法を考える。
- 模試を受ける
- 市販の「情報I」対策模試を活用し、本番と同じ形式の問題を解く。
- 模試を受けた後は、解説を読み、わからなかった部分を重点的に復習する。
まとめ
「情報I」は、今後の社会で必要とされるスキルを学ぶ重要な科目です。特に、プログラミングやデータ活用は共通テストでも得点差がつきやすいポイントとなるため、しっかりとした対策が必要です。実践的な学習を取り入れながら、効率的に対策を進めていきましょう!