自立して学ぶ力、つまり「自立学習力」は、現代社会でますます重要になっているスキルの一つです。インターネットやデジタル技術の進化によって、膨大な情報が誰にでも容易にアクセス可能となり、学ぶこと自体がより自由で多様化しています。しかし、その膨大な情報の中から自分に必要な知識を選び、自分のペースで学び続けるためには、計画的かつ柔軟なアプローチが求められます。
一方で、学校や塾で教えられる知識は、一定の枠内に限られており、全ての興味や関心を網羅できるわけではありません。さらに、社会に出てからは、自ら情報を収集し、新しいスキルを身に付けることが不可欠です。だからこそ、学ぶ力を早い段階で養うことは、長期的な視野で見ると非常に有効です。
自立学習力を身につけることで、子どもたちは自身の能力を最大限に引き出し、自己管理や問題解決のスキルを育てることができます。例えば、自分で計画を立て、学習の進捗を管理し、課題に直面したときには自ら調べ、解決策を見つけるといったプロセスを通じて、単なる「知識の獲得」以上の力を養うことができます。これは、将来にわたって役立つ重要なスキルです。
では、どのようにすればこの「自立学習力」を効果的に鍛えられるのでしょうか。本記事では、そのための5つの秘訣を順を追って解説していきます。これらのポイントを実践することで、子どもが自発的に学び、成長する姿を見守ることができるでしょう。
自立学習を成功させるために、まず必要なのは「明確な目標を持つこと」です。目標が定まっていないと、学習の方向性が定まらず、やがて学習意欲が低下してしまいます。しかし、ただ漠然とした目標を掲げるだけでは不十分です。効果的な目標設定には、具体性と現実性が必要です。
目標設定の手法として、ここでは「WOOP」というアプローチを紹介します。WOOPとは、「Wish(願望)」「Outcome(結果)」「Obstacle(障害)」「Plan(計画)」の4つの要素を基に、現実的かつ達成可能な目標を作り出す方法です。この方法は、単に目標を立てるだけでなく、途中で起こり得る困難を事前に想定し、その解決策を考えることで、目標達成の確率を高めます。
まず、子ども自身が何を達成したいかを明確にすることが大切です。例えば、「テストで良い成績を取りたい」といった漠然とした願望ではなく、「次の期末テストで数学の点数を10点上げたい」といった具体的な目標が良い例です。具体的な願望があれば、それに向かう過程がはっきりし、学習のモチベーションを保つことができます。
次に、その願望が達成されたときにどのような結果を得られるかを想像します。ここでは、その結果が自分にとってどのような利益をもたらすかを具体的にイメージすることがポイントです。例えば、「数学の点数が上がれば、自信がつき、次の科目にも挑戦する意欲が湧く」といったように、結果を具体化すると、達成への動機がより強くなります。
目標を設定しただけでは、途中で挫折することがあります。そのため、どんな障害が目標達成を阻むかを事前に考えることが重要です。例えば、「ゲームの時間が長くて勉強に集中できない」や「友達と遊びたい気持ちに負けてしまう」といった、実際に起こり得る障害を特定します。このように、目標達成に立ちはだかる具体的な障害を洗い出すことが、次のステップで重要な役割を果たします。
最後に、その障害に対処するための具体的な計画を立てます。たとえば、「ゲームをする時間を1日30分に制限し、勉強の前に友達と遊ぶ時間を確保する」といったように、現実的な行動計画を策定します。障害を乗り越えるためのプランがあることで、学習の進行がスムーズになり、目標達成の可能性が高まります。
このWOOP法を用いることで、子どもはただ「勉強しなさい」と言われるのではなく、自分自身で学習の方向性を定め、進んで取り組むことができるようになります。目標達成のプロセスを理解することは、学習の効率を高めるだけでなく、自己管理能力を育てる上でも非常に効果的です。
なお、もう一つの目標設定方法として「SMARTゴール」も非常に有効ですが、こちらについては別の記事で詳しく解説しています。SMARTゴールについての詳細はこちらをご参照ください。SMARTゴールについての記事はこちら。
次のページでは秘訣2,3について解説します。